そこは誰もが行きたがるという(ことになっている) 史上最強、地上の楽園。 私はこわい。 楽園、こわい。 もし、 ほんとうにそこが「楽園」でなければ 途方にくれるじゃないの
天から優しく落りてくる こぬか雨をみていると 水の神様が 機を織っているのかしらん と思えてきます ほんとに 織っているのかもしれません こぬか雨をみていると なつかしいひとに 会えそうなきがします この世とあの世に かすかに穴をあける やさしい雨です
くらげが ワルツをおどるころ 夏が どこかにいっちゃった ひざしはまだまだ あついけど 夏はそっと(ほんとに、そっと) いっちゃった
おおきくなあれ おおきくなあれ 水とか、栄養とか、 ワタシなりにあげたつもりだったけど ちっともおおきくならないあなたでした。 大人にもなれず、 ピーターパンにもなれず、 小さくしぼんでいくあなたを見おろす春の夕暮れ (軽い吐き気さえもよおします)…
あなたがつんだ トリカブトがしみる あなたがめでた オキナグサも目にしみる しみる。そして、 もしわたしが ほんとの詩人なら あなたのこころにしみるでしょう
かぜがふく きっと、 なにかをてにいれる。 あさっては あなたに かぜがふく きっと、 ゆめをつかまえる しあさっては いきとしいけるものに 嵐のようなかぜがふく きっと、きっと なにかがかわる。
むかしむかし わたしがお大師様に 瓦礫を投げた人でないといいけれど むかしむかし わたしがイエスさまを 裏切った人でなければいいけれど むかしむかしはわからない。 行ってみなけりゃわからない
わたしは 大気にとけていく おおきな くらげ。 やがて すきとおった風になって 青空をおよぐ。
金の海 金の海こえ 銀の波 銀の波こえ ひかりのなかへ
しずかな ひとみを していても あたしのなかの ことりは ほえてるよ
ひとりずつ ころしていって これでやっとねむれる とおもったら ちいさな つかまらないハエがいて ワルツをおどる ぶんぶん ぶかぶか ぶんぶんぶん ぶんぶん ぶかぶか ぶんぶんぶ~ん 女王さまはしかたなくベッドから起きだして ドレスに着替え ハエとワルツ…
ぼくは コトバをかいた 紙をたべて いきています 「鉄のヤギさん」 って、だれかが いったっけな いわなかったっけな
あおいあおい そらの おくのおくにひかる、 瑠璃色の ちいさな決心。 わたししか しらない わたしにしか みえない 瑠璃色のビーズの。
世界の果てのほうから 夏が ほどけてくる 光が、ほどけてくる 陳腐な表現だわ と 女神がわらう ああ それでも 世界はこんなに明るく ほどけてくるのに
あなたのみた みてらの春は もう すぎゆきたでしょうか ルンビニ幼稚園のある 佐伯のお寺は 梅の香と ののさまと ねむったふりをするお昼寝の時間と マヨネーズの水でっぽうと 五歳のわたし りんりんと乳母車を押してもらう達治さん わたしは母に手をひかれ …
サンピりょうろん きよほうへん わたげになって とんできやがれ 風にのって とんできやがれ わたしはたのしくてたまらない 両手をひろげて わたげにアタマから つっこんでいきたくてたまらない
きょうは どのへん? わたしは、わたしの人生の どのあたりを あるいているの 地球の いのちの きょうは どのへん? そして 宇宙のいのちの どのへんでしょう
わたしは 踊り続けます 赤いさかずきをもって くるくるっとな。 くるくるっと祭囃子に合わせてな。 めまいのするよな 拍の乱舞の乱反射 ほうれ、わたしと目が合ったこどもが 今年も泣いておるわ。 さくら はらはら びみょうなきぶん。 こまったような、うれ…
石橋をたたきながらビクビク渡ってると 石が割れちゃってまっさかさま。 用心しすぎたオレの一生を一瞬のうちにふり返る そこに、なんということでしょう どんぶらこっこどんぶらこ、と素敵なオノマトペで 川上から流れてきたデカい桃の上に落ち九死に一生。…
向こうから クワをかついだ田吾作が わたしのほうに近づいてくる 田吾作のことは好きでもなければキライでもない。 そっと私の耳に顔をよせて 「ナムアミダブツ…」 このベタな展開に 「わたしを甘く見るんじゃない」 とケリを食らわせるか(いや…暴力はよく…
わたしのちいさなくつしたに 穴が ぽかっとあきました。 5才のわたしはそれを指さし おかあさんをみあげて泣きました 穴がどこかとんでもないところに通じているようで いま、わたしは いろんなところに少々穴があいててもヘーキです。 空には風が わたって…
ここに。 ひかりのつぶをあつめる(ことにした) わたしはいま レンズになって、 わたしひとりきりのちきゅうを ビーズのひかりでこがして あそんでみるんだ!